Lesson9-2では、フリーランスの仕事の流れを学びました。
このセクションでは、フリーランスになるための準備について学びます。

フリーランスになることを決めたら、次の手続きを行う必要があります。
- 開業届を提出する
- 青色申告承認申請書を提出する
- 国民健康保険に加入する
- 国民年金に加入する
詳しく説明していきます。
開業届を提出する
開業届とは
開業届とは、フリーランスが個人事業主として仕事を開始したら、税務署に届け出をする必要のある書類のことです。
正式名称を「個人事業の開業・廃業等届出書」といいます。
仕事を開始したと認識した日から1か月以内を目安に、自宅住所の管轄の税務署に提出してください。
仮に提出しなくても、法的な罰則などはありません。
しかし、開業届を提出することには大きなメリットがあります。
開業届を提出するメリット
青色申告ができる
Lesson9-4、Lesson9-5で詳しく説明しますが、確定申告には「青色申告」というものがあります。
青色申告をすると、控除額も多く、優遇措置も受けることができます。
この青色申告をするためには、開業届の提出が必須となります。
屋号で銀行口座がつくれる
開業届を提出する際に、屋号を自由に決めることができます。
屋号とは、個人事業主用の会社名のようなものです。
以下に例を挙げます。
<在宅 太郎さんの場合>
氏名:在宅 太郎
屋号:太郎本舗
開業届を提出していると、屋号名義で銀行口座をつくれるようになります。
そうして、プライベートと分けることで、仕事のお金の流れがわかりやすくなり、帳簿がつけやすくなります。
社会的信用を得られる
開業届を提出して、個人事業主として確定申告を行うことは、収入の証明になります。
収入が証明されれば、社会的信用を得ることができます。
青色申告承認申請書を提出する
先述した青色申告のためには、開業届と共に「青色申告承認申請書」の提出が必須となります。
仕事を開始したと認識した日から2か月以内、もしくはその年の1月1日から3月15日までに、自宅住所の管轄の税務署に提出しましょう。
青色申告をするかどうかまだ決めていない人も、
開業届を提出する際に一緒に提出しておくことをおすすめします。
書き方のポイント
簿記方式を選択する欄では、必ず「複式簿記」を選択するようにします。
単式簿記と複式簿記の違い
単式簿記では、基本的に収支だけを帳簿していくものでシンプルなものです。
それとは反対に複式簿記では「借方」「貸方」という考え方を使って、
少し複雑に帳簿を付けていくものです。
ここでは解説が膨大になるため、さらに詳しく説明はできませんが、
フリーランスとして確定申告を行う場合には、専門書などでぜひ学んでみることをお勧めします。
国民健康保険に加入する
Lesson9-1でも少し触れましたが、フリーランスになると国民健康保険に加入することになります。
この時の手続きは、自分で行わなければなりません。
必要書類を持って、最寄りの市区町村役所で手続きをします。
国民健康保険に加入すると、
- 医療費の3割のみが自己負担
- 限度額を超過した分の医療費の返還
などの制度が受けられます。
保険料は高額になってしまいがち
国民健康保険は、健康保険と比べて保険料が高額です。
なぜなら、所得に比例して保険料が高くなるからです。
健康保険では保険料の一部を勤務先が負担してくれていたのに対し、
国民健康保険では全額自己負担であることも理由のひとつです。
高額であるために、加入しない人もいるようですが、
日本は「国民皆保険」と言って、医療保険への加入は義務となっています。
国民健康保険が難しいのであれば、次の方法を検討してみてください。
国民健康保険組合に加入する
国民健康保険組合とは、同じ職種や業種の個人事業主によって組織されている保険のことです。
保険料は定額の場合が多く、病気や怪我、出産などで働けない場合は手当金の支給などもあります。
ただし、職種や業種に該当するものがなければ入れません。
健康保険の扶養に入る
収入が少ない場合、条件を満たしていれば、家族や配偶者の扶養に入れます。
そうすると、自分が支払う保険料は0円になります。
健康保険を任意継続する
国民健康保険の保険料は、前年の所得によって決まります。
前年は高所得だった人がフリーランスになると、収入が不安定な中、
非常に高額な保険料を支払わないといけなくなります。
そのため、全額負担にはなりますが、健康保険を任意継続したほうが保険料が安くなる場合があります。
ただし、任意継続は原則2年までです。
国民年金に加入する
フリーランスになると、国民年金に加入することになります。
国民健康保険と同様、最寄りの市区町村役所もしくは年金事務所で加入手続きを行います。
支払う保険料は一律です。
老後の備え
Lesson9-1でも触れましたが、国民年金は厚生年金に比べて年金受給額が少なくなっています。
そこで、老後に備えて、任意で年金を上乗せする方法があります。
付加年金
国民年金に上乗せて、毎月400円を積み立てると、「200円×納めた月数」を毎年受給することができます。
途中解約が可能です。
納めた額は、確定申告の際、控除の対象となるのがポイントです。
国民年金基金
国民年金に上乗せて、掛け金を積み立てることができます。
掛け金は自分で決めることができます。
加入後の解約はできません。
付加年金と同様、納めた額は控除の対象になります。