Lesson9-3では、フリーランスになるための準備として、
- 開業届を提出する
- 青色申告承認申請書を提出する
- 国民健康保険に加入する
- 国民年金に加入する
といった手続きが必要なことを学びました。
その中で何度か登場した、
- 確定申告
- 控除
- 青色申告
について、このセクションでは学んでいきます。

確定申告とは
前年1月1日から12月31日までの間に稼いだ所得と、それにかかる税金を、
2月16日から3月15日の間に税務署に申告することを確定申告といいます。
確定申告をして、納税をすることは国民の義務です。
納税を怠ると、当然のことながら罰則もあります。
税金の種類
確定申告について詳しく学ぶ前に、税金の種類についてまずは知りましょう。
所得税
1月1日から12月31日までのすべての売り上げから、仕事のために必要な経費を差し引いたものを「所得」といいます。
計算式はこうなる!
所得=売上全額-経費
所得から、さらに控除額を差し引いた金額に対してかかる税金が所得税です。
計算式はこうなる!
所得税=(所得-控除額)×税率
=(売上全額-経費-控除額)×税率
所得税には累進課税制度というものが適用されており、所得が高くなるほど税率が上がる仕組みになっています。
個人事業主は、自分で所得税の計算をして、確定申告を行います。
その後、確定申告期限日の3月15日までに自分で所得税を納付する必要があります。
控除額とは
納税額から差し引いても良い金額のことです。
所得控除と税額控除というものがあります。
所得控除は、所得税の計算の前に所得から差し引いて良く、
- 基礎控除
- 社会保険料控除
- 配偶者控除
- 扶養控除
などがあります。
例えば、社会保険料控除によって、国民健康保険や国民年金(Lesson9-3を参照)として納めた額が控除対象となります。
計算式はこうなる!
所得税=(所得-所得控除)×税率
税額控除は、上記の手順で求めた所得税からさらに差し引いて良い控除のことです。
寄附をしたり、住宅を購入した際に受けることができます。
計算式はこうなる!
所得税={(所得-所得控除)×税率}-税額控除
自分で所得税を納めなくて良い場合がある
場合によっては、あらかじめ源泉徴収された状態で報酬が支払われることがあります。
源泉徴収とは、所得税を国に前払いすることをいいます。
この源泉徴収された額は税額控除の対象となっています。
つまり、既に納税していることになるので、改めて納付する必要がないのです。
所得税の納め方
所得税を納めるときは、
- 金融機関や税務署の窓口で現金納付
- コンビニから専用納付書で納付
- 口座振替で納付
- e-Taxやクレジットカードで納付
などの方法があります。
事業税
事業税とは、事業に対して課される税金のことです。
所得が290万円以下の人は払わなくて良いです。
また、職種によっても免税されます。
例えば、
- 画家
- 音楽家
- 作家
- スポーツ選手
- 林業
などは免税対象です。
住民税
1月1日時点で自分が住んでいる都道府県と市町村に納める税金のことを住民税といいます。
所得に対して、一律10パーセントの税率となっています。
所得税同様、前年の所得を基に決まります。
確定申告後の6月から納付が始まるので、注意してください。
消費税
個人事業主の売り上げ(消費税抜き)が1000万円を超えた時に、国に納める必要のある税金が消費税です。
実際の納税は、1000万円を超えた年の2年後になります。
確定申告をしないとどうなるか
税金について学んだところで、確定申告に話を戻しましょう。
確定申告をしないと一体どうなるでしょうか。
収入を証明できない
確定申告書の写しは、個人事業主の収入の証明にもなります。
また、確定申告後であれば、市区町村役所から「所得証明書」を発行してもらうことができます。
いずれにしろ、確定申告をしなければ、収入の証明が難しいのです。
Lesson9-3で述べたこととは反対に、収入が証明されないので、
社会的信用を得ることもできなくなります。
納税の義務が果たせない
確定申告をすることで、
- 所得税
- 事業税
- 住民税
- 消費税
などの納税額が決定します。
確定申告をしないと、納税額が定まらず、納税の義務が果たせなくなる恐れがあります。
たとえ故意でなかったとしても、納税漏れをしてしまうと、ペナルティーが課せられることになります。
払いすぎた税金が返ってこない
源泉徴収では、報酬の10パーセントほどの額が税金として納められますが、払い過ぎになっている可能性があります。
しかし、確定申告をすることで、払い過ぎた額は返金されるのです。
確定申告をしなかった場合は、当然のことながらこれが返金されません。
青色申告とは
確定申告には、「青色申告」というものがあります。
そして、青色申告でないものを「白色申告」といいます。
青色申告と白色申告の違いは、特別控除を受けられるか受けられないかです。
Lesson9-3で挙げた青色申告承認申請書を期限内に提出していない場合、翌年は白色申告しか行うことができません。
青色申告の特別控除
すると、最大65万円もの特別控除を受けることができます。
計算式はこうなる!
所得税={(売上全額-経費-65万円)-所得控除}×税率
=(所得-所得控除)×税率
ただし、次の条件があります。
- 青色申告承認申請書で複式簿記を選択していること
- 複式簿記で帳簿をつけること
- 電子申告すること
電子申告をしなかった場合、控除額は55万円になります。
また、簡易簿記で帳簿をつけた場合は、控除額は10万円です。
その他の優遇措置
青色申告では、特別控除以外にも優遇措置が受けられます。
青色事業専従者給与
同一生計の家族に仕事を手伝ってもらい、給料を支払っている場合、
条件を満たしていれば経費として申告することができます。
事前に「青色事業専従者給与に関する届出書」の提出が必要です。
赤字分の繰り越し
青色申告だと、支出が収入を上回った分を、3年間の収益で埋め合わせて良いことになっています。
つまり、赤字が出たとしても、翌年以降の黒字で釣り合いを取ることが可能なのです。
高額な経費への優遇措置
通常、10万円を超すような高価な物品は、何年かに分けて経費にすることが決められています。
しかし、青色申告の場合は、30万円未満の物品であれば、1年分の経費として認められます。
まとめ
確定申告とは、前年分の所得と所得税を税務署に申告することです。
確定申告をすることで、それぞれの税金の納税額が決まります。
また、確定申告には、青色申告と白色申告がありますが、青色申告の方が多くの優遇措置を受けることができます。